画像クリックで拡大

3月 モグラの応援団

冬のあいだ、
チューリップは何度もあきらめそうになった

押しても、押しても、
土はかたくて、暗くて、

「もうだめかも」と思った日もあった。

「どうしてわたしだけ、出られないんだろう。」

そのたびに、そばを通るもぐらが言った。

「大丈夫。ちゃんと伸びてるよ。」

チューリップは見えない。
自分の根っこなんて。

でも、もぐらは見ていた。

少しずつ広がる根を。
昨日より深くなった力を。

そしてある朝。

小さな緑が、
やっと土の上に顔を出した。

風は気づかない。
鳥も気づかない。
森には、昨日と変わらない時間が流れる。

でも、土の下から――

「やったね!!」

もぐらは、両手を広げて笑った。

目を細めて、
心からうれしそうに。

チューリップは、まだ少し震えている。

でも、その声を聞いて、まっすぐ立つ。

「ほらね。ちゃんとできた。」

それは、世界でいちばん最初のお祝い

朝露がきらりと
チューリップの葉のうえで輝いた